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『アイデア大全』フェスティバル実施中!

「ゼロ秒思考1.0」から「ゼロ秒思考2.0」の時代へ

 私がビジネス書の『ゼロ秒思考』(著:赤羽雄二さん)に書店で出会ったのは約1年半前の2014年12月末頃だ。なんとなく自己啓発本を読み漁っては実行には何一つ移さない日々を送っていたが、『ゼロ秒思考』も例外ではなかった。立ち読みしていたら結構面白く、購入までしたのに、その後一枚もメモを書かなかったのだ!(初めて聞いた人に補足すると、コレはメモを書いて頭を良くしよう、という本だ。コレコレを読んで欲しい。)
 その1ヶ月後ぐらいに、あるベンチャー企業の創業者の講演を聞く機会があった。その創業者の方の話があまりに情熱的で、大変に感銘を受けた。帰宅後に「なんて面白い会社なんだろう!!」と思ってその会社のウェブサイトを見ていたら、社員全員にゼロ秒思考のメモ書きをやらせている、という話が出ていたのだ。「これって聞いたことある…はっ!」というように、自分が買ったけど一度も実践しなかった本のことを思い出した。「スピード命のベンチャー企業がわざわざ時間をとってコレを社員にやらせているとは、そんなに良いもんなのか?試しに書いてみるかな?」と思ってその晩、記念すべきA4メモ書きデビューを果たした。
 初日からある程度効果を実感できた。A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4~6行、各行20~30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書くという方法にしたがって、「上司に言われた気になる一言」「明日の会社の飲み会がちょっと憂鬱」などの普段、敢えて口にしないような悩みをどんどん書き出していった。最初は下手くそで、1ページ10行を10分以上かけてしまっていた。でも、それでも自分の錆びついた脳みそが僅かながらフレッシュさを取り戻したのを感じた。これはなかなか良いかもしれない、という予感がした。
 何事も3日坊主の私だが、珍しいことにそれ以降はずっとA4メモ書きを継続することが出来た。小さいことでウジウジと悩んでしまう人間だったし、当時は仕事で大変に辛い思いをしていた時期でもあった。そんな中で、メモ書きには何度も救われた。
 重要なプレゼンの前に緊張してしまい、会社のトイレの個室でA4メモをこっそり書いて心を落ち着かせたこともあった。非常に落ち込んでしまうようなことも多々あったが、毎回メモをたくさん書くことで、それを引きづらずにスパっと切り替えられるようになった。自分が今まで見て見ぬふりをしてきた自分の欠点や、忘れてしまいたいようなトラウマを直視して、成長していくことが出来た。A4メモ書きを続けるのが億劫になったこともあったが、途中に出会ったメモ書き仲間に刺激されて頑張り続けることが出来た。初期の頃は暗いメモばかり書いていたが、時間が経ち、気付けば自分が人生の中で最も前向きに頑張れていることが嬉しすぎて、ボロボロと泣いてしまったこともあった。
 今では書いてきたメモの枚数が1万枚近くなってきた。使い果たした「ゼロ秒思考ペン」も数十本となった。赤羽さんの他の13冊も次々と出版され、それらも何度も読み返してきた。

【ゼロ秒思考で蓄積されたA4メモ】
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【メモ書きで使い果たしたペンの数々】
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【何度も読み返した赤羽雄二さんの全14冊】
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 今、ゼロ秒思考はロングセラーとして、大きい書店では必ずと言ってよいほど目立つ位置に置いてある。海外でも出版が相次いでいる。私の職場でも、『ゼロ秒思考』や同じく赤羽雄二さんによる『速さは全てを解決する』を読んだことがある人が増えている気がする。ネット上でも、解説記事や実践記事が頻繁にシェアされる。なので、ゼロ秒思考のメモ書きを数週間〜1,2ヶ月実践してみた人は非常に多いと思う。そして、次のような効果を実感できるようになっている頃ではないだろうか。

  • モヤモヤをあまり溜め込まなくなった気がする
  • 企画書などを書く時間が短くなった気がする
  • 新しいアイディアを考えられるようになった気がする
  • あまりイライラしなくなった気がする
  • 頭の回転が少し良くなってきた気がする

 でも、ここで終わってしまってはもったいない。実はコレはゼロ秒思考の入り口に過ぎない。ゼロ秒思考というのは、非常に奥が深く、極めると、次元の異る効果を実感できる。ゼロ秒思考2.0と名付けたいぐらいだ。せっかく数週間〜数ヶ月続けることが出来たのなら、ここから2次曲線のように面白くなっていくメモ書きを体感しないわけにはいかない。さらに高みを目指していこう。
 ということで今回の記事では、ゼロ秒思考1.0からゼロ秒思考2.0へとステップアップするための工夫や取り組みを紹介していくぞ。(『ゼロ秒思考』って初めて聞いたよ、という人はとりあえず本を購入するか、ググってみて、毎日メモを10枚書いて、ゼロ秒思考1.0を習慣化してから、またこのブログ記事に戻ってきてほしい。)

カスタマイズは一切しない

 「A4用紙の裏紙を横方向に置き、右上に日付。日付の書き方は2016-7-30。右上にタイトル。点を付けて文章を書き出す。文は20〜30字で4〜6行。これをすべて1分以内。一日10枚以上」というルールだ。ルールはとことん守らないといけない。ルールを守らないと期待された効果が得られなくなる。「Evernote派だからタイピングで」とか「俺はノートにアイディアを書き出すのが好き」などのカスタマイズは一切してはいけない。私は5000枚を超えるまでオリジナルのメモ書き方法を愚直に実施してきた。5000枚を超えてからA3にしてみたり、iPhone音声認識機能を用いたメモ書きにしてみたり、色々とカスタマイズしてみたが、結果的には本に紹介されている手法に回帰した。赤羽さんも、何千人に対してメモ書きを直接指導してきて辿り着いた方法になっているらしい。みなさんも5000枚に達するまでは守ってみよう。それ以降なら、カスタマイズOKだ。
 しかし一つ、どうしても守れないものがあった。これは1分という制限だ。最初は1分40秒ぐらい掛かってしまう。でも、慣れていくと言葉がスラスラと出てくるようになる。赤羽さんの言う「考えずに書く」という境地だ。それでも実は1分20秒を達成できるだけだ。最終的には1分10秒までは達成できるようになったが、1分は4つの文が短い時だけにしか達成できなかった。カスタマイズして唯一良かったのは、日付を書く時間を節約するために、日付スタンプを使ったことだ。コレで少しだけ1分に近づいた。購入したのはシャイニー スタンプ ミニデイトプリンタ 5号×4連 S-300UKだ。これは自宅の机に上に常に置いてある。外出中のメモ書きは手書きで日付を書かないといけないが、自宅でメモを書くときは、iPhoneのタイマーとスタンプを利用して、「何が何でも1分!今日こそ1分!」という気持ちで書いてきた。

深層メモ書きで自分の過去と向き合う

 A4メモ書きは一日10枚が基本だが、怒りや不安が強い時は、10枚だけでは解消されないかもしれない。そういう時は思う存分メモを書きなぐれば良い。場合によっては、20枚、30枚と書き続けよう。また良いビジネスアイディアが浮かびそうなときも、枚数なんて気にせずどんどん書くべきである。
 私はこれを勝手に深層メモ書き(ディープライティング)と呼んでいる。最近流行りの深層学習(ディープラーニング)ではないぞ。
 このディープライティングには注意点がある。書けば書くほどモヤモヤが大きくなってくる時がたまにある。実は、自分が今まで生きてきた中で避けてきたことにぶち当たっている可能性がある。これは自分の欠点、自分の過去のトラウマなどであり、自分の脳が巧妙にそれを避けさせてきたのだ。トラウマが深ければ深いほど、それは考えるだけで心理的に負担がかかるので、脳はそれを無意識に避けるような非論理的な思考回路を強化し始める。しかし、メモを書いているとどんどん頭がクリアに働くようになるので、脳が自分の心を騙せなくなってくるのかもしれない。メモ書きが上手になっている証拠でもある。なので、「メモの効果が最近薄れてきたな」ということでは決してない。ある程度真剣にメモ書きを進めている人には起きる症状だと思っている。少なくとも私には起きた。
 そこで重要なのが、「すっきりするためにメモを書いているのに、逆にモヤモヤしてきた。もう今日はここらへんで止めよう。」としないことだ。これだとモヤモヤは逆に強まったままだし、脳がメモ書きに対して負のイメージを持ってしまう。20,30枚でモヤモヤが強くなっているのは、自分がトラウマと向き合うチャンスだと思って、さらに書き続けよう。
 私の場合は、60枚、70枚と続けていると、やっとモヤモヤが減ってくる。例えば10年前の自分が本当はどうすべきだったのか、今となって自分が出来ることは何なのかが、微かに見えてくる。そして100枚を超えたあたりからは、自分が今まで信じてきたことがひっくり返るような、雷に打たれたような感覚になる。肩の荷がおりたようになり、心がすっと軽くなる。そういう感覚になれば、もう書くのはやめても良い。たぶん、すごく疲れが押し寄せてくるが、心は軽いはずだ。
 ただし、これは平日の夜にやらないこと。土日の朝などのように、時間がたっぷりあって、疲れも取れているという状況下で実施しよう。また、まわりに人がいない環境を確保すると、メモ書きに入り込めるので良い。休日の半日は潰れてしまうが、効果は絶大なので、もし、普段のメモ書きでまったくモヤモヤが解消されないテーマがあれば、土日にガッツリとメモ書きをしてみることをおすすめしてみる。
 これでも効果がなければ、もしかしたらメモ書きだけでは解消できないぐらいトラウマが深いのかもしれない。私は、一日に最高130枚のメモを書いたことがあるが、それを超えて書いても効果がなければ危険信号かも知れない。私にはよくわからないが、専門的なカウンセリングを受けたほうが良いのかもしれない。
 実は、赤羽雄二さんが最近お勧めしている「毒になる親」や「愛着障害」を読んでいて驚いたことがある。それらには私なんかよりもずっと辛いトラウマを抱えた人たちが登場するのだが、それらのトラウマを乗り越えて自分の人生を取り戻すテクニックが紹介されている。例えば、怒りを紙をぶつけるように書いていくなどのテクニックが紹介されているが、これはゼロ秒思考のA4メモに非常に近いのだ。実は、A4メモ書きというのは、深い悩み、トラウマを乗り越えることと大変に相性が良いのかもしれない。
 この深層メモ書きというのは、トラウマや悩みだけではなく、ポジティブな内容であっても実は良い。例えば、新たなビジネスアイディアを考えるときや、今後世の中がどういう変化を遂げていくのだろう、のようなメモを同様に書き続けると、頭がどんどん働いて自分も想像していなかったようなことに気付けることが多々ある。正直、ビジネスに限定する必要性すらない。ポケモンGOについてでも良いし、映画の感想でも良い。

 しかしこれは一日に100枚以上続けて書くというよりは、数十枚書く→疑問点や気になることを調査(ネットでググったり本を読んだりする)→また数十枚メモを書く→また調査するというのを数日かけて繰り返していくイメージだ。ここのノウハウは『7日でつくる事業計画書』が参考になる。

応用編のメモ書きに挑戦

 メモ書きを1分15秒以内に書けるようになってくれば、応用メモを書き始めると良い。応用メモとは基本形以外のメモフォーマットのことで、読書メモ(『アクションリーディング』)、英語メモ(『もうこれで英語に挫折しない』)、マトリックスメモ(『マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング』)、オプションメモ(『ゼロ秒思考-行動編-』)、アイディアメモ(『成長思考』)などだ。メモ書きのスキルを上げたい人は、是非気になる本を読んでみてほしい。
 上記の本を読み終わってしまって、色々なメモを書いてしまったら、次に何をすべきか?『事業計画作成とベンチャー経営の手引き』という無料で公開されているPDFを読んでみることをお勧めする。ベンチャー経営者向けに書かれたマニュアルなので、赤羽さんの出版されているビジネス書よりは少し目線が高く書かれている。ベンチャー経営者でなくても、「どうすれば情熱を保ち、トップスピードで走り続けられるか?」「どうすれば並々ならぬ努力を続けられるか?」「どうすれば無限に工夫をできるか?」「どうすればポジティブで前向きな脳を維持できるか?」ということのヒントがたくさん得られるので、ライフハッカーの皆さん、メモ書きをしている皆さんにはたまらない内容のはずだ。ただ非常に長いので、気に入ったページだけ印刷して手元に置いている。

メモ書き仲間を作り、一緒に頑張る

 私は最初は自分のまわりの人にメモ書きを勧めていたが、割合としては、10人に勧めるとそのうち4,5人は実際にメモを書いてくれて、そのうち1人がハマってくれる、という印象だ。なので、自分の周囲を巻き込んで仲間を作るには時間がかかってしまう。(もちろん今でも、相談されれば、必要と思えばメモ書きを紹介しているが、仲間をつくるという目的では勧めていない。)
 そこでお勧めなのが、赤羽さんが開催するイベントに参加することである。最も参加しやすいのが、定期的に開催されている数千円のセミナーであろう。ブレイクスルーパートナーズのウェブサイトや、赤羽さんのツイッターを見ていればセミナー情報が流れてくるので、試しに参加してみても良いかもしれない。セミナー終了後には必ず懇親会が付いているので、メモ書き仲間を作るにはうってつけだ。
 次にお勧めなのが、連続型セミナーである。これは『40歳からのネクストチャレンジ!』や、『大学生・若手社会人向けリーダーシップ強化ブートキャンプ』のことだ。4回ぐらいのセミナーがセットになっているので、テーマが深掘りされるし、懇親会で毎回同じ人と会うので、単なる名刺交換を超えた絆が出来やすい。セミナー終了後も、フェイスブックの専用ページで、活発なやり取りが続く。受講者だけで集まって色々な勉強会が開かれることも多い。
 後者のブートキャンプはこれから開かれるのでどういうセミナーか知らない。一方、40歳からのネクストチャレンジ!の方には参加したので、そちらの雰囲気は上記に説明した通りだ。
 最後に紹介したいのが、プレミアムサロンというものだ。私はプレミアムサロンに半年ぐらい入会していたが、家計が苦しくなってきたので残念ながら退会してしまった。会費は一万円/月なのでゼロ秒思考を初めとする仕事術をさらに極めたいという意欲が高い人でないと、なかなか踏み切れないかもしれない。起業家の人が3割ぐらい、それ以外の人の業種はバラバラだった。起業家志望の人が1,2割いたような気がする。月に一回、赤羽さんとメンバーで飲み会が開催されるのだが、お互いを高め合う非常に素敵な会だった。
 フェイスブック上の専用ページでは赤羽さんに自分の悩みやビジネスアイディアをなんでも質問して良いし、すぐに答えてもらえる。「こんなアイディアの新規事業を今考えていますが、どう思いますか?」や「育児でこんなことがあり困っていますが、どう思いますか?」などなんでも良い。赤羽さんだけではなく、他のメンバーからのフィードバックももらえる。
 私が入会していた時は、『マンガでわかる!マッキンゼー式ロジカルシンキング』が発売された時と重なっていたので、多くのメンバーが2×2マトリックスの写真をアップロードしていた。そうすると、赤羽さんの厳しい赤入れが入るので、ちょっぴり落ち込むが、だいぶ鍛えられた。たぶん30回ぐらい添削してもらった。

終わりに

 以上で、ゼロ秒思考のA4メモ書きについて、自分が今まで工夫してきたことを紹介してきた。他にも色々な工夫があるのだが、1万字を超えてしまったので、これぐらいで終わりにしたい。
 ゼロ秒思考のA4メモ書きは非常に面白い。奥が深い。役に立つし、自信も出る。アイディアもどんどん出るようになる。今後は、ゼロ秒思考2.0に終始せず、ゼロ秒思考3.0の領域を目指して、もっと多くのメモを書いていくつもりだ。
 もしかしたら、メモ書きで頭を良くしようということに抵抗がある人もいるかもしれない。どういうことかというと、私達は自分の頭の良さというのは生まれつきだと思い込みやすい。というか、脳がそう思い込みたい節がある。そうすれば、まわりの非常に頭のいい人達と自分を比べずに済むからだ。
 でも、頭が良いとか悪いとか、そういうことは実はどうでもいいのではないだろうか。目が悪かったらメガネをするし、歯が腐ったら金歯を入れる。持病があれば薬を飲む。頭の回転が錆び付いていたら、メモ書きをして頭をクリアにする。それだけのことだと思う。
 頭というのはツールに過ぎない。目が悪い人が、「私は目が悪いからなかなか仕事ができないんです…」と落ち込んでいる人は見たことがない。だってメガネをつければいいじゃん!頭になると突然、そうはいかないような気がしてくる。でも、そのツールが多少、人より劣っているように感じても、それをどんどん磨けば良いのではないか?私達現代人が、メガネや薬、治療と言ったものに頼るように、メモ書きという技術に頼れば良い。そして自分が本来やりたかったこと、自分の夢や志、自分の実現したい世界に向かって、そのツールをフル活用しながら、全力で進んでいければ、非常に幸せなことだと思う。

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