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Am I in a cage?

映画『君の名は。』から見えてくる、面白い映画レビューをサクッと書く技術

※本ブログ記事では、映画『君の名は。』公式ビジュアルガイド『君の名は。』のネタバレを含みます。ご注意ください。

 先日、映画『君の名は。』を観てきたので、このブログでそのレビュー記事を4つ公開した。私自身、映画をたくさん観ている映画通でもなければ、新海誠監督の映画を何度も視聴するようなコアな深海ファンでもない。ブログでも、映画のレビューを公開したことは今まで一度もなかったし、レビューサイトで自分の考えを披露したこともなかった。
 そういう意味では映画レビューの初心者であるわけだが、今回4つのレビューを書いてみて、レビューの書き方などのノウハウをせっかくなのでまとめておきたい。自分が次回、映画のレビューを書くときのためにも形に残しておきたいと思ったし、他の映画レビュー初心者の参考になれば嬉しい。

<今回の目次>

真っ先に自分の感じたことをメモに書きまくる

 映画を見終わる。エンドロールが流れる。おもしれえ!なかなか良かったぜ。いまいちだったかな。そういえばあのシーンの意味がわからなかった。あそこは感動したな。自分もこれからはあのような生き方をしてみたいな。
 映画を観ると、そんな様々な感想が押し寄せてくる。でもそれらのほとんどは数日のうちに消えていく。そのため、その日のうちに、それらをメモにどんどん吐き出していくことが第一ステップになる。理由は後述するが、その際には映画のレビュー、ブログ記事、監督インタビュー、公式サイトなどは一切見てはいけない。
 メモの書き方は自由だが、ブログ記事のように構成をしっかりする必要はないし、支離滅裂でもOKだ。私のお勧めはゼロ秒思考のメモ書き方法。聞いたことがない人はこちらも読んで欲しい。

 とにかく、忘れないうちにどんどん吐き出していく。例えば次のような感じ。これらをタイトルにして、それぞれのタイトルに対して4行(4文)ぐらいの感想をささっと書いていく。

  • すげえ面白かった。こんな良い映画は久しぶりだな。なぜ面白かったのか?
  • あのシーンは良かったな。なぜ良かったと思ったのか?
  • あの俳優は成長したな。どこらへんが成長したのだろう?
  • 監督は結局何が言いたかったのだろうか?
  • 本当はこういうエンディングになると思ったのに、なぜならなかったのか?
  • 主人公のあの考え方にはなぜ共感したのか?
  • 映画館の客層はどうだったか?
  • 一緒に観に行った人は、なんと言っていたか?
  • 自分は映画の主人公になりたいか?
  • 今後の人生で活かせるような要素はあったか?

 こうやって自分の頭の中に少しでも浮かんだ感想・感動・疑問・モヤモヤなどをすべて吐き出していく。お勧めは最低20枚は書くこと。なるべく深く考えずに、どんどん書いていき、「これ以上はもう何も書けない!」というところになったら次のステップに進もう。

一気にリサーチ!レビューを読みまくれ

 次に、やっとここでレビュー解禁だ。レビューサイトのコメント、映画ジャーナリストや映画マニアのブログ記事、監督のインタビュー、公式サイトの解説などだ。
 こうやって1時間〜2時間程度読みまくっていると、この映画の平均的な感想や、映画を観た人の間でのコンセンサスのようなものが見えてくる。恐らく、自分の書いたメモの中にも、同じような感想があるはずだ。
 こういう内容はある意味、他人と差別化しづらい部分なので、ブログ記事のテーマとしては除く。私が映画『君の名は。』を観た直後のメモ書きでは、「景色・景観の美しさ」に関するメモが多かったし、それについて立派なブログ記事を書こうと思っていた。しかし、レビューのシャワーを浴びると、これは美術専門家や深海ファンなどによって、非常に高いレベルで語り尽くされていることに気付いた。人間は他人のレビューを一切読まない場合、他人と意見が重なりそうな部分とそうでない部分は意外に予想できないのかもしれない。
 逆に、自分はメモをたくさん書いたテーマなのに、他の人のレビューではあまり取り上げられていないテーマや見方がはっきりわかってくる。これをブログ記事のメインテーマにする。例えば私の場合は、テッシーに関する考察や、「恋愛は何かの比喩なのではないか?」や「三葉のリーダーシップ」に関するメモを書いていたのだが、そういうレビューはほとんどなかった。なのでそれらをブログ記事にした。
 もし、最初にメモ書きをせずにレビューを読んでしまうと、映画通の人が堂々と語っていたりして、しかも文章も上手いので、「なるほどぉ。そういうことだったのかぁ。」「すげえ〜!」と妙に納得してしまう。自分が微かに考えていたけれどまだ言語化していない思考の塊のことが、突然どうでも良く思えてきてしまう。これだともったいない。先にメモを書いておけば、これを防ぐことが出来る。

自分の感性に自信を持つ

 映画の感想なんて自由だ。正解・不正解もない。自分が何かを感じたのであれば、それだけで価値がある。例えば、映画『君の名は。』の外伝小説を担当した加納新太さんのインタビューの中で、非常に共感する部分があった。公式ビジュアルガイドから引用してみよう。(赤字部分は私が色づけ)

 新海さんの作品はどれも多くを語らず、あえて空白を作ることで、その穴埋めを観る人に委ねているところがあるんですね。つまり、人によって解釈が異なって当然なんです。この小説にしても、”あくまで加納新太が考えている解答はこれです”と言っているにすぎない。ですから、まずは、映画を観て感じた自分の感情や解釈を大事にしてもらいたい。その上で、「なるほど、こういう捉え方もあるんだね」というぐらいの気持ちで、この外伝を読んで頂ければと思います。

改めてメモを書き、最後にブログ記事を書く

 ということで、ここまでで大量にメモを書き、大量にレビューを読んできたとしよう。今度は、他の人の視点を踏まえた上で、自分の考えを再びメモ書きしていく。他の人の一般的な感想を読みまくったことで、「自分の考えに対してどういうツッコミが来そうか?」「自分の考えのどこを強調すべきなのか?」というのも想像しやすくなる。
 そのようにして深掘りしていくと、最初に書いたメモ、改めて書いたメモが合わせて30枚以上溜まってくる。その中から、一つのテーマに関するメモだけを抜き出そう。たぶん、10枚ぐらいだと丁度良い。それらを並べ替えてわかりやすい構成を考えて、抜けている部分があればさらにメモを書く。「この順番はしっくり来るな」と思えれば、ソレを見ながらブログ記事を書いていく。10枚ぐらいの箇条書き形式のメモを、今度はしっかりとした文章に変えていくのだが、ここはストレスなく、スムーズに出来るはずだ。
 残ったメモ書き20枚程度をパラパラめくってみて、これについても書きたいな、と思えば、同じ事を実施して2つ目のブログ記事を作る。これを繰り返していく。出来上がった記事はその都度、配信していこう。

さらにもう一回ループしてみる

 ここまでで、映画を観る→考えて書く→レビューを読む→考えて書くというプロセスを辿ってきた。言い換えれば、インプット→アウトプット→インプット→アウトプット。余裕があれば、もう一度ループを回したい。つまり、あと一回だけインプット→アウトプットを辿っていくのだ。
 例えば映画『君の名は。』の場合であれば、ブログやレビューだけではなく、小説版や外伝小説、公式ビジュアルガイドなども読み込みたいところである。その感想などをメモ書きに吐き出していき、また並べ替えてブログ記事に仕上げていく。そうすればさらにいくつかの記事が出来上がる。

終わりに

 映画でも小説でも、観たり読んだりした直後の感動や感想は、数日後にはほとんど消えていく。もしかしたら数時間後には鮮度が既に低下しているかもしれない。映画『君の名は。』を観て、そういう人間の記憶装置の欠陥を強く意識するようになった。「大事なことを次々に忘れてしまう人生なんて嫌だな」と思い、自分の行動パターンを変える第一歩として、映画レビューを書いてみた。今後は映画『君の名は。』から学んだことをその他のことにも活かしていきたいと思っている。
 ということで、せっかくなら、すぐに感想をアウトプットし、記事を書いてみてはいかが?


追記:同じ方法でアニメのレビューも書いてみました。ぜひご覧ください。
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