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凡人がイーロンマスク風に週100時間働くのは可能か?検証してみた!

 「週に100時間労働」という話を時々、耳にする。これはいくつかの文脈があるが、一つは外資系金融・コンサル業務に従事しているケースだ。朝は9時から働き始め、投資案件の分析、財務コンサルティング、売却企業の業界リサーチなどに追われ、深夜の2時まで働くことは当たり前。タクシーで帰宅する人も多いとか。

 例えば、転職ビジネスに革命を起こしたビズリーチ創業者の南壮一郎さんは、『絶対ブレない「軸」のつくり方』の中で「自分のデスクから朝日が昇るのを眺める日が続く時期も少なくなかった。」と投資銀行に勤務していた20代を振り返っている。体力MORIMORIな人達がその生まれ持った才能を、存分に活かしているようなイメージがある。私にはとても無理だ。

 もう一つが、スタートアップの文脈で語られるケース。私は起業家自伝本は大好きなので、今まで数多くのベンチャー成功物語を読んできた。そこで「週に100時間以上働く」という話が頻繁に出てくる。スタートアップで働いた経験があるわけではないので、これが一般的な姿なのかは私には判断できないが、「週に100時間超えを達成してこそスタートアップだ!」という文脈で語られることが多い。必ず登場するアイテムが寝袋とソファーというのもポイントだ。

 昔はサイバーエージェント創業者の藤田晋さんの「週に110時間労働」の話が良く引用されていたが、最近はイーロン・マスクの「週に100時間働け!」を引用する人が増えているような気もする。

 どちらにしても、残念ながら私にはとても無理。もう、物理的にできる気がしない。1000億円もらってもできない。いや、ちょっと待てよ?本当にできないのか?挑戦もせずに諦めるのか?

 挑戦まではしなくても、少なくとも脳内シミュレーションをしてみてはどうよ?ということで、ちょっとシミュレーションをしてみることにした。

 すると驚くべき結論に達した。プライベートや趣味の時間をすべて仕事に捧げたとしても、週に100時間以上働くのは至難の業なのである。シミュレーションの段階でほぼ不可能という結論に達した。今まで「この人達、すげーよな」と思っていたが、それは大きな誤解だった。すごいどころではない。週に100時間以上働いている人達は、(本当なら)マジで半端ないということがわかった。その詳細を見ていこう。

<今回の目次>

凡人シミュレーション

 基礎スペックが非常に高い状態(例えば睡眠時間が3時間で平気とか)の主人公を設定しても意味が無いので、あらゆる面において凡人であるキャラクターを用いたシミュレーションを行いたい。

基本設定

  • 年齢は働き盛りの30代、子供が二人いる
  • 凡人なので、睡眠時間は同年代の日本人の平均である7時間/日
  • 食事も1日に3回取ることは死守したい。昼食と夕食にそれぞれ1時間
  • 性別は男と設定し、化粧の時間はかからず朝の支度は朝食込みで1時間
  • 性欲もあるだろうから、これは週に2時間割り当てる
  • 会社までの通勤時間は片道30分
  • 電車に乗っているのは15分だが、スマホでメールの返信などに当てる
  • 100時間労働の体力を付けるため週に3回はジムに行く(1時間トレーニング(着替えなどを含む)ジムまでの往復は30分)
  • ハードなデスクワークで固まった体をほぐすため、週に一度はマッサージ(家の近くで往復10分、マッサージ20分)
  • 高い集中力を維持するために55分働いたら5分休憩するサイクルを取り入れる(トイレ休憩なども含む)
  • 土曜日は仕事に捧げても良いが、日曜日は子育ての時間にしたい

 凡人ではあるものの、イーロン・マスクを目指すために奮発して会社の近くの家に引っ越してもらったし、ジムやマッサージ店も近い。趣味やプライベートはすべて諦めてもらったが、日曜日だけ子育ての時間に使う、という設定だ。

イーロン・マスクを目指した1日の流れ

 早速、凡人の1日の流れを見ていこう。

  • 24:00~7:00:睡眠
  • 7:00~8:00:朝食、出社準備
  • 8:00~8:30:通勤タイム
  • 8:30~12:00:働くぜ!
  • 12:00~13:00:昼食
  • 13:00~16:00:働くぜ!
  • 16:00~16:30:コーヒーブレイク
  • 16:30~19:30:働くぜ!
  • 19:30~20:30:夕食
  • 20:30~22:30:働くぜ!
  • 22:30~23:00:帰宅タイム
  • 23:00~23:30:お風呂
  • 23:30~24:00:リラックス後に就寝

週の労働時間を計算してみる

 それでは、果たして凡人はどこまでイーロン・マスクに近づくことができたのだろうか?計算してみよう。

  • 一日あたりの労働時間の合計は11.5時間/日
  • 55分働いたら5分休憩しているので57.5分(約1時間)引いて10.5時間/日
  • これを月〜土と6回繰り返すので6倍で63時間/週
  • 運動4.5時間、マッサージ0.5時間、性欲2時間を失うので56時間/週
  • 電車の中ではスマホでメールをするので15分を6倍した1.5時間を加えて57.5時間/週

 なんとたったの57.5時間!プライベートも趣味も犠牲にし、土曜日もフルタイムで働いたのに、イーロン・マスクの半分程度じゃないか!

本気出したスーパー凡人シミュレーション

 なんてこった!毎日朝早くから夜遅くまで働き、さらに土曜日も仕事に捧げているのに労働時間はたったのに57.5時間だと?これを聞いた凡人は本気モードに突入。イーロン・マスクにリベンジを果たすべく、パワーアップしたスーパー凡人が返ってきた。彼によると、改善点は次のとおりだ。

基本設定

イーロン・マスクを目指した1日の流れ

  • 24:00~7:00:睡眠
  • 7:00~7:05:COMP完全食で朝食を瞬殺
  • 7:05~7:20:前倒しシートで効率的になった朝の支度
  • 7:20~7:30:通勤タイム
  • 7:30~11:30:働くぜ!
  • 11:30~12:00:昼食
  • 12:00~20:00:働くぜ!
  • 20:00~20:30:夕食
  • 20:30~23:00:働くぜ!
  • 23:00~23:10:帰宅タイム
  • 23:10~23:40:お風呂(ブレストタイム
  • 23:40~24:00:簡単な仕事を片付けてから就寝

週の労働時間を計算してみる

  • 一日あたりの労働時間の合計は14時間50分/日
  • 55分働いたら5分休憩しているので70分引いて13時間40分/日
  • これをEVERYDAYなので、7回繰り返し94時間30分/週
  • ランニング3時間、ランニング仕事術を導入し損失を1.5時間に圧縮、引いて93時間/週
  • マッサージ0.5時間、性欲2時間を失うので90時間30分/週
  • お風呂の半分をブレストタイム(仕事)とし、週3.5時間を追加、94時間/週

 なんてこった!!ここまでやれば日本のトップ0.001%ぐらいにはストイックだが、それでもスタートアップのスタートラインにも立てないじゃないか。

総括

 このシミュレーションの結果には心底驚いた。最初の凡人シミュレーションの設定で既にかなりのハードワークだが、それでもイーロン・マスクの半分程度である。そしてすべてを犠牲にし、ライフハック術を盛り込んだスーパー凡人シミュレーション設定を行っても、94時間という結果で敗北。スーパー凡人のストイックさは正直半端ないし、これを年中続けられる人がいたら、本当に驚く。

 7時間睡眠ではなく、6時間睡眠に変更し、その時間を労働に割り当てれば101時間になり100時間を超えられるが、それだと凡人の基本スペックを超えてしまうので採用できない。例え採用したとしても、1度でも飲み会に行ったら即、敗北。「いや、業界の人と飲むことは市場調査になる」と主張する人もいるかもしれないが、飲み会会場まで往復1時間を超えた瞬間にアウトだ。起業家の間で大人気のワンピースの続きを読んだり、フェイスブックで他の人とコミュニケーションをとったり、家族サービスをすることはすべて諦めなければならない。よく「会社に泊まり込めばいいじゃないか」という発言も聞くが、泊まったとしても増える労働時間は1日20分しかないぐらい、上記のシミュレーションは既に高いレベルに達している。

 また、「食事をしているときも休憩しているときも頭の中では仕事のことを考えているんだ」という反論もあるかもしれない。そう言われたら言い返せないが、それが許されるならなんでもありだろう。極論をすれば、「寝ているときも仕事の夢を見ている」と主張すればイーロン・マスクには簡単に勝てる。なのでそういう反論は無しにしたい。

 ということで、週に100時間労働は、私のような凡人からすると、もう異次元の話だと思うに至った。

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