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Am I in a cage?

『鬼速PDCA』と「なるほどシート」はPDCAコインの両面である

 『鬼速PDCA』では、最初にゴールを設定し、それを定量化し(KGI)、ゴールと自分の現在地のギャップを埋める課題を最小単位まで因数分解して導き出す。さらには課題をKPI化し、KPIを達成する解決案を考える。これがPDCAのP。実行段階(PDCAのD)では、解決案をDOに変換し、最重要DOに絞りKDIを設定する。それでもまだ足りなくて、DOをTODOの粒度まで分解する。TODOを適切に管理しながら、日々タイムマネジメントも磨き、モチベーションも維持しつつ、それらを実行していく。

 振り返り(PDCAのC)の局面では、KGI、KPI、KDIの達成率を割り出す。KDIで未達があればその要因を突き止めるため、「なぜなぜ?」のWHYツリーを場合によっては5段階以上掘り下げていく。同様にできた項目の「できた要因」も分析する。分析結果を、次のサイクルに活かしていくために調整(PDCAのA)をかけていく。

 ここまででPDCAの4つのステップが終わり、ようやく2サイクル目のPDCAが回り出す。これが私の、現時点の『鬼速PDCA』を読んで試してきた範囲での理解である。これが本書のメインコンテンツであり、まずはこのサイクルを回せるようになることが重要であると思う。だが、これだけではPDCAを鬼速で回していくことはできない。なぜか?

マクロ視点の「PDCA」だけでは足りない

 ここまで解説してきたPDCAサイクルは、PDCAに対して真正面から取り組むもので、また設定した一番上位概念であるゴールから順々に逆算していく、マクロ視点の思考法である。コレだけだと山を見ることはできるが、山道を見ることはできない。

 富士山を遠くから見ていても「キレイだな〜」と思う程度だが、実際に登り始めると、マクロ視点では気づかなかったことに次々と気付く。「意外に若い人が多いな」とか、「他の登山者の持っているアイテムが気になるな」とか「なんかやる気なくなってきたな、帰りたい」とか。「この植物珍しいな」とか「なぜ人間の肌は日焼けするのだろうか」のような、山登りとは一見関係のない気付きや疑問も次々と出てくるだろう。しかしこれらのミクロな気付き、感想、疑問等は、ゴールから逆算していく思考法の対象にはならない。ただちにKGI、KPI、KDIの達成率に貢献するわけではないからだ。

(注:もちろん頭の良い人であればPDCAサイクルのいたるところで、こうした日々の気付きを自然と取り入れることができるかもしれないが、少なくとも私には難しい。)

ミクロ視点の「なるほどシート」

 本書では、山の頂点から逆算したマクロ思考法では上手く扱うことのできない日々のミクロな気付きを蓄積し、PDCAに活かしていくための画期的なノウハウである「なるほどシート」が紹介されている。

 「なるほどシート」とは何か。少し引用してみよう。

 若い読者の方には、日常生活で「なるほど」と思ったことがあれば、どんどん書きとどめていくことをおすすめする。それを実際にPDCAとして回すかどうかなど気にしなくていい。あとになって覚えているだろうとタカをくくっていても、たいてい忘れるのでとにかく反射的に書く。そして、その100個のメモのうち1個でもPDCAを回せば、それは必ず成長につながる。
 私は営業マン時代から徹底したメモ魔だった。自分の日々の行動や考え方で改善できそうなもの、自分の強みと弱み、心に響いた先輩の言葉など、気付いたらメモに残した。

 著者の方によると、これを「なるほどシート」と呼び、そうしたなるほどメモを週に10〜20個、手帳に書き込んでいたらしい。さらに現在は「営業マンから経営者の立場になったので考えることも多く、気付きのメモの量は週に50〜70個まで増えた」とのこと。お風呂にも防水ケースに入れたスマホを持ち込むし、歩いている時であればスマホの録音機能でアイディアを記録しておくという徹底ぶり。

 ちなみに私も本書を読んでから「なるほどシート」を作成し日々記録しているが、著者の「週に50〜70個」にはとても届かない。実際には週に10個を超えるだけでも結構大変。

 この「なるほどシート」の理解を深めるために、別の箇所も少し引用してみよう。

 書き込む内容については、半週ミーティングの結果導き出された改善案や伸長案でもいいし、日々の業務で反省したことや驚いたこと、本やネット記事で新しく学んだことや気付いたことでもなんでも良い。組織の話でも個人の話でも構わない。
 仮に本人にいま明確にPDCAを回している感覚がなくても、そうした日々の気づきは結果的にPDCAにつながること、そしてPDCAはどんな対象であっても回せること、さらに、日々の気付きを書き残すだけでも人は成長していくことを実感してほしいと願っている。

 いかがでしょう。すなわち、「なるほどシート」とは日々の気付きをとにかくメモしまくれ!というものである。メモするだけでも成長に繋がるし、その中から幾つかを実践すれば、さらに良いだろう、ということだ。

『鬼速PDCA』初心者が「なるほど」を500個以上蓄積した方法とその感想

 私は本書を読んでから、TODOISTに「なるほど」カテゴリを作成し、日々の気付きをそちらに記入するようにしている。そちらは現在165個である。一方で、40名を超えるライフハッカー仲間とともに「なるほど共有会」というものの運営を始め、オンラインで日々のなるほどを共有している。共有会では361個(2017/02/05現在)投稿しているので、TODOISTと合わせると、526個である。また他のメンバーが投稿してくれた「なるほど」約1700個にもすべて目を通しているので、それも合わせると2000個を超える。

 これを数ヶ月継続してきたが、良かった点はたくさんある。好奇心アップ、雑談力アップ、日々の成長を実感しやすくなるなどだ。だが、最も大きな利点は「将来の『鬼速PDCA』を先取りして回せる!」という点である。以下、解説しよう。

将来の『鬼速PDCA』を先取りして回せる!

 もともとはPDCAの一貫としてなるほどシートを利用していなかった。単に「日々の気付きをもとに成長していければいいよね」ぐらいの認識だった。だがある時、PDCAの振り返り時に、課題を深掘りしていった時に出てきたボトルネックや粒度の細かい課題を眺めている時に面白いことに気付いた。それは、その時初めて出てきた課題を、自分は既に「なるほどシート」発で取り組んでいたことである。

 例えば、「PDCAではタイムマネジメントのレベルを上げないといけない」と把握していたので、数ヶ月かけて取り組んできた。が、あるとき、「これ以上タイムマネジメントを極める余地は小さくなってきたので、他のことに労力を割いたほうがトータルでは効率的ではないのか?」と考えるようになった。(もちろんデキる人と比べるとタイムマネジメント力はまだ低いと思うが、自分の取り組むべきことのインパクトが低下したという意味。)

 色々と考えていくと、時間は有効活用できているが、モチベーションが下がる時に生産性が低くなる(KDIの達成率が下がる)ということに気付いた。ここで面白かったのは、「なるほどシート」発で既にモチベ管理に繋がる「感情シート」を極め始めていた頃だったのだ。(感情シートについては別途記事を書く予定だが、自分のモチベを研究するために、日々の感情を記録するシートのことである。)

 もちろん毎回ではないが、振り返り分析を行った先に「なるほどシート」があった、というのは驚きだ。もし「なるほどシート」で日々の気付きを取り入れていなかったら、回しているPDCAのKPI、KDIに直結しないことは日常からカットされていただろう。

 長々と書いてしまったが、今回の結論はこうだ。

 日々の気付きを論理的に今のPDCAと結びつける「明らかなロジック」は思いつかなくても、脳が無意識のうちにその重要性を認識しているからこそ、自分は「なるほどシート」に加えたのだろうし、毎日書き込んでいる複数の「なるほど」の中から、ある特定の「なるほど」を実践していたのだろう、と今では思える。

 PDCAはマクロ、なるほどシートはミクロという視点から、達成したい最終ゴールに別々の方向性からアプローチしているのかもしれない。両方を同時に進めていくことで、『鬼速PDCA』がさらにスムーズに進んでいくのではないだろうか。

なるほどシートを実践してみよう

 ということで、今回はPDCAとは一見関係のない「なるほどシート」の話を『鬼速PDCA』の本から紹介してみた。取り組む方法としては、手帳でも良いだろうし、本の手法であるTODOIST式でも良いだろうし、会社の部署でエクセル共有する方法でも良いかもしれない。「なるほど」を本当に極めたいという人は、私が『鬼速PDCA』にインスパイアされて始めた「なるほど共有会」に参加するのも良いと思う。気になる人はこちらもどうぞ。
toricago.hatenablog.com

鬼フェスとは?

 2017年2月18日から3月5日まで鬼速PDCAフェスティバル(鬼フェス)期間のため、毎日『鬼速PDCA』の記事を連続で公開しています。Twitterハッシュタグ「#鬼フェス」にて質問、意気込み、感想も受け付けています。『鬼速PDCA』体験記も募集しています。『鬼速PDCA』を実践している方は是非。詳しくはこちら。
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