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Am I in a cage?

なぜここまで1冊の本『鬼速PDCA』にこだわるのか?

 『鬼速PDCA』(著:冨田和成さん)というのは、御存知の通り、現在鬼のように売れているPDCAに関する仕事術本である。そしてこのブログでは、これまでに10記事以上、同じ本『鬼速PDCA』の記事を公開してきた。さらに明日以降も、しばらくは『鬼速PDCA』の記事しか公開しない予定である。

 いくら売れている本とは言え、ブロガーとして同じ本の記事を複数アップするのは常識に反している。通常なら、読んだ後に「お勧めです」という書評を一つ書くだけである。なぜなら「書評」は多くの未読の人が気になりアクセスを集めやすいが、それ以上突っ込んだ話は未読の読者がついてこれなくなり、大多数の読者への配慮が欠けてしまうからである。

 それに、検索エンジン流入の戦略上においても、同じ本の記事を量産するのは最悪だ。自分の記事同士が同じキーワードの競合になり、潰し合いが発生する。実際に私の『鬼速PDCA』関連記事も、アクセスは2つに集中しており、それ以外の記事は検索エンジンではほとんど表示されなくなってしまった。

 もちろん、ブロガーとしては非常識な行為であることはわかっている。それでも、毎日、『鬼速PDCA』に関する記事をアップし続ける。いったいなぜか。

 ということで、今回は「なぜここまで1冊の本『鬼速PDCA』にこだわるのか?」という話をしてみたい。いったい、どういうメリットがあるのか?

きっかけは?

 きっかけは大昔に読んだ大前研一さんの本の中で「読書をしたら、その少なくとも3倍の時間は、その内容について考えたり実践する時間にすべし」というライフハックが紹介されていたことだ。例えば1冊読むのに2時間かかれば、6時間は確保しないといけないことになる。当時の私はあまり読書の習慣がなかったものの、徐々に読書の量が増えていった頃だった。「でも、6時間もあれば、さらに3冊も読めるのに!」と思い、自分にはとてもそこまでできないなぁ、と半ばあきらめていた。

 そのうちそんな大前さんのアドバイスを忘れてしまい、色々な本を読み続けた。だが、ある時、当時熱心に読んでいたちきりんさんのブログで、こんな記事に出会った。

 神ゲーマーとして有名な梅原さんと対談したことに関する報告記事である。後半で「決めました。経団連が梅原さんを講演に呼ぶその日まで、もうこのブログでは梅原さんのことしか書かない!」と。

 読者としては、「え〜勘弁してくれよ。もっと色んなことについてブログ書いてくれよ〜」と思っていたのを思い出す。その後、ちきりんさんは宣言していた通りに梅原さんの書いた本『勝ち続ける意志力』の内容を軸として、次々と梅原さんの記事をアップ。しかも、そのどれもが予想に反して面白い!なぜ、同じネタについてこんなに何個も記事を書けるんだ!という感じ。しかも日を追うごとにどんどん分析が深くなる。

 その時、ふと大前さんのアドバイスを思い出して、大前さんの言っていたことって、こういうことだったのかなぁ、と思った。だが当時はブログを私自身が書いていなかったので、「1冊の本の内容を深掘りしよう!」と心のなかで思っただけで、なかなか実践できずにいた。 

 ずっとそのことが頭の片隅にあったので、数年前にようやく、『ゼロ秒思考』というメモ術の本を徹底的に実践してみた。すると想像以上の効果があり、一つの本を深掘りする面白さを知ったのだった。それ以降は『速さは全てを解決する』『疲れない脳をつくる生活習慣』も課題図書に設定し、徹底的な実践を進めてきた。

 これらの深掘りしてきた本の効果や深掘りの仕方はブログでも紹介してきたので、気になる人は記事一覧を遡ってもらえたらと思う。

1冊の本に並々ならぬエネルギーを注ぎ込みたい

 だが、「もっともっと本格的な深掘りはできないだろうか?」という好奇心も湧いてきた。「そこそこ深める」というレベルではなく、「並々ならぬエネルギーを一冊に注ぎ込んだらどうなるのか?」という疑問だ。

 こういう疑問が湧いてくる背景にあるのは、私自身が、「次々の本を猛スピードで読んでいき、効果的なところだけを器用につまみ上げて吸収していくタイプの人間」ではないからだ。今までの人生を振り返っても、学校でも、会社でも、その他のコミュニティでも、学習速度は遅い方だった。そういう学習速度が遅い人なりの生存戦略として、遅くてもいいから、1つの本を他の人よりも圧倒的に深めることが最適解になり得るのではないだろうか?と思い始めていたのだ。それが自分なりの強みと化けないだろうか。

 ちょうどそんな時に『鬼速PDCA』と出会った。それが去年の10月末頃だったが、内容に感激したので、「前々から検証したかった仮説を試してみる時が来たのではないか?」と思い、それ以降はそれなりのエネルギーを注ぎ込んできた。だが先日参加した著者の方による講演会を聞いていて、そこそこやってきたけど、自分はまだあまり『鬼速PDCA』が身についていないことに気付いた。「このままのペースだと、とても徹底的に実践する」とは言えないのではないか、という焦りも出てきた。

 そこで、なんとか実践の濃度を上げたいと思っていたのだが、「ちきりんさんのような面白いことができたらいいなぁ」という気持ちもあったので、今年になって「鬼フェス」というアイディアが浮かんできた。そして今に至る、というところだね。

 以上が課題図書という概念が生まれた経緯である。次は、自分が過去に設定した課題図書を深掘りしてきた経験から、その良さを少し解説してみたい。

1冊の本を深掘りして完コピする醍醐味は?

 仕事術系の本に対するスタンスとして最も一般的なものは、まずは本を読んで見て、気になったところをいくつかだけ自分の人生に取り入れてみる、というものだろう。多くて3割ぐらいを実践する、という人が多いのではないだろうか。

 これはこれで良いスタンスだろう。ビジネス書は一つのネタを膨らませて無理やり本にしているものもある。また、初心者が取り組むべきところは本の一部で、その他は応用編という本も多い。無理して完コピをすることはない。(完コピとは完全コピーという意味で、本の隅々まで実践し身につけることである。)

 ただ、年に一冊か二冊ぐらいは完コピするぐらいの熱量で取り組むべきだと思っている。前述の通り、『ゼロ秒思考』『速さは全てを解決する』や『疲れない脳をつくる生活習慣』などを完コピしてきたのが一例である。

 なぜ完コピがお勧めかというと、2つの理由がある。
 
 一つは、つまみ食いでは身につかないところまでしっかり身につくということである。『鬼速PDCA』も10万部近く売れているわけだが、その一部分だけをつまみ食いしている人が絶対到達できない領域があり、そこまで極めるからこそ他の人と差がつくのではないか

 もう一つは、一部分だけ取り入れると、逆効果になる場合もある。あるノウハウが小さいノウハウの集積として意味を持っている場合は、一部だけ身につけると、今までの自分のやり方と整合性が取れなくなることがある。『鬼速PDCA』の場合についても、P・D・C・Aという4項目は順序的連続性があり、そこに深い繋がりがある。こういう場合も、一部分だけつまみ食いするよりかは、完コピに向いている可能性がある。

完コピする本の選び方

 完コピの対象にすべき本にはいくつか基準がある。完コピするためには相当のエネルギーと時間を注ぎ込むので、選択を誤ると悲惨なことになる。それではどのようにして良い本を選べばよいのか、私なりの基準を紹介したい。

基準①:本に感動できること

 最初の基準は、「本の内容に感動できる」ということ。本に感動していなければ高いモチベーションは湧いてこない。その読書体験が原動力になる。すばらしいノウハウが乗っていても、実践する前に「感動する経験」がないと走り続けられない。

 感動しているということは、つまり、「それを身につけた後の自分の人生がどのように前進するのか」をイメージできる、想像できるとも言いかえられる。そういう自分の将来に対する希望が湧いてくるからこそ、感動しているとも言えるからだ。

基準②:本の著者を尊敬できること

 さらに、本の著者を尊敬できていないと、モチベーションが持続しない。例えば私は『鬼速PDCA』を読む前から著者の方のブログを読んでいて、非常に刺激を受けていたし、著者の方のような熱い生き方を自分もしてみたい、とずっと思っていた。そういう尊敬や憧れの気持ちも、完コピする上でポイントになるだろう。これは基準①の「本の内容に感動している」と近いが、イコールではない。

基準③:著者以外の実践者が多数いること

 これは盲点だが個人的には重視している。著者だけが実践してきたワザやノウハウである場合、面白そうだなと思っても私は実践しないようにしている。やったとしてもつまみ食いで留める。

 それよりかは、著者以外の多くの人も実践して、他の人にも効果があった、という話が出て来る本を選ぶようにしている。前述の『ゼロ秒思考』も、著者の方が千人以上に直接指導して、試行錯誤しながら生まれたノウハウであるらしい。『鬼速PDCA』も同様に、著者以外の話がたくさん出てくる。

 「私が開発したノウハウで、私はこれで大成功してきた」という類の本だと、著者の業種や業務内容、著者が生きた時代背景や著者の人間としてのスペックに大きくバイアスがかかっている。それを他の人がマネして上手くいくかどうかは見通しづらいところがある。なので私はむしろ、「他の人」の話がどれぐらい本から読み取れるかを重視している。

 逆に、他の人の話「しか」出てこないような本は選ばない。例えば「私は患者を1万人以上、このノウハウで復活させた」などが一例。著者自身が実践していない話は、完コピの対象から外している。

 要するに、著者ご本人が並々ならぬエネルギーを注いで開発したノウハウであり、著者以外の他者が数多くそれを再現してきた、その過程でさらにブラッシュアップされたノウハウが本として出版された、というのが完コピとして選びたい仕事本であると思っている。

終わりに

 ということで、まだまだ『鬼速PDCA』の完コピプロジェクトは続くぜ。引き続き鬼フェスもどうぞよろしく。

<鬼フェスとは>
 2017年2月18日から3月5日まで、毎日『鬼速PDCA』の記事を連続で公開しています。Twitterハッシュタグ「#鬼フェス」にて質問も受け付けています。『鬼速PDCA』体験記も募集しています。『鬼速PDCA』を実践している方は是非。詳しくはこちら。
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