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Am I in a cage?

激動の時代を生き抜くサバイバルサーファーになるために

一昨日発売されたばかりの『3年後に結果を出すための最速成長』(著:赤羽雄二さん)を読んでみた。面白かったのでレビューをアップするぜ。

本書は、「未来予測」+「キャリア構築」を絶妙にブレンドした面白い本になっている。一見、ありふれたテーマであるが、多くの場合、こういうビジネス書は次のどちらかに偏ってしまっている。

一つは、「未来予測」に重心がある場合は、著者が未来を夢想することで終始してしまう場合で、キャリア的な結論が乏しいモノ。確かに哲学的で、読んでいて面白くないわけではないが、結論が「人間的なクリエイティブな仕事が残るので、そういうベクトルを目指しましょう」というフワフワとしたものになりがちだ。

一方で、「キャリア構築」に重心がある場合は、直近の技術トレンドがしっかりと捉えられていない場合が多い。「仕事がなくなる時代の生き方」のようなキャッチコピーを出しておきながら、どのような仕事がどのように、なぜなくなるのかという深い分析、もしくは具体性のあるマテリアルが全然出てこない。10年以上前から見聞きしてきた内容の域を出ないことが多い。

本書に話を戻すと、こちらはそのどちらにも偏らない内容になっており、近年の技術発展による世の中の急速的変化を的確に捉え、未来予測は非常に難しいと認識した上で、「現時点で既にこういう変化が起きているのだから、少なくとも数年後はこうなるだろうし、5年後〜10年後はベクトルとしてはこういう方向になるだろう。そう考えれば、今からやるべきことはこういうことになるのではないか?」という話が超具体的に進められていく。

例えば、秘書業務の中でも特に腕の見せどころである「接待に最高なレストランの選定、場所おさえ、見晴らしのいい席の確保など」は、気遣い・配慮に基づく高度な「人間的」スキルが必要に見える。なので機械で代替できなさそうだが、こういうものこそ「一番アプリ化しやすいところ」と解説が続く。このようにあらゆる業務・職業がどのように、どのぐらいのタイムスパンでなぜなくなっていくのかが解説されていくので読んでいて面白い。こういう具体的な記述が非常に多く出てくる。

そして最近のキャリア本と言えば、やはりAIの解説が多いのが特徴かもしれない。本書もAIや関連するビッグデータ、IoT、ドローン、ウェアラブルなどを丁寧に解説していき、社会・産業そして個人に対してどのようなインパクトがあり、どのようなビジネスチャンスが生まれるのかをカバーしている。(これが第2章。)

だが、面白いのは、一番深く解説されているのがブロックチェーンインパクトであるということ。スマートコントラクト、プライベートブロックチェーン、パブリックブロックチェーンなど、キャリア本にはあまり登場しないワードも多数出て来る。初見の人のための解説も付いているので、心配ない。これらにより、銀行業務、証券業務の存在意義が根本から問われ、社員の大半がなぜ不要になるかがわかるし、全産業における会計、監査、経理、財務の仕事の大変がなぜブロックチェーンによって消滅していくのかが理解できる。個人的にはこの章(第3章)が一番面白い。ブロックチェーンの最低限はこの章でしっかりと固めておこう。

政治経済、企業組織寄りの未来予測については続く第4章、第5章。ここまでで実に様々な話が網羅されているが、一つ一つのテーマに対して、「結局どういうリスクが迫っていて、逆にどういうチャンスが生まれる可能性があるのか?」という著者の考えも合わせて解説されるので、これをベースにして読者がさらに考えを深めたり、行動に移しやすいような構成になっているのも本書の魅力だ。

第6章以降はいよいよ、「仕事がなくなる時代が来る前に身につけておきたいこと」という本題に入っていく。人生設計力から始まり、成長力、モチベーション維持、コーチング、情報収集術、分析力、洞察力の鍛え方、いかに即断即決・即実行するか、英語力のポイント、そして転職や起業のアドバイスまで。もちろん『ゼロ秒思考』ファンの皆さんにはお馴染みの思考力の鍛え方も。第1章〜第5章を読んだ後だと、なぜそういうスキルを一刻も早く強化すべきなのかが「なるほどなぁ…」という感じでスッと入ってくる。

ついに日本もココまで来たか、とショックを受けなくもないが、津波に飲み込まれるのではなく、その上でサーフィングをするサバイバルサーファーになるのが残された道であり、それに向けて最速成長するしかない、という危機感を強く持つことができる。結構刺激的だぞ。

ということで、短いがレビューしてみた。

気になる人はまずはこちらのシリーズを読んでみて、面白そうだったら実際に本の方も読んでみることをお勧めする。
best-times.jp