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Am I in a cage?

VALUとメタップス・タイムバンクにより激変する世の中を徹底解説する

2ヶ月弱前に公開されたウェブサービス『VALU』はかなり話題になったので聞いたことのある人も多いかもしれない。企業が取引所に上場して資金調達し、株価がリアルタイムで変動していくように、「個人が株式会社のように自分の価値をビットコインを通してトレードできるようになる」というサービスだ。創業者の思いは「頑張る人が成功しやすくなる社会を実現したい」とのことである。ブロックチェーンの応用サービス例として、技術的な関心を持った人も多いようだ。

そして今日、メタップスによる『タイムバンク』というサービスの詳細が発表された。こちらはざっくり言うと「時間取引所」ということになるのだろうか。プレスリリースによると、「タイムバンクは、技術者、経営者、アスリート、歌手等、「専門家」と呼ばれる方々の空いている時間を、一般の「消費者」が購入、使用、売却、保有する事ができる「時間」の取引所になります。」とのことだ。なんだか面白そうだ。さらに引用すると、

タイムバンクは様々な空き時間を有効活用できる「時間市場」の創出を通して、個人が主役の新たな経済システムの実現を目指しています。時間の価値を再認識してもらうことで、人々の働き方や生き方を変えていきたいと考えています。

価値のあるあらゆるモノが今まで資本市場に飲み込まれ、金融化が進められてきたが、最も価値あるモノの一つである「時間」は手付かずだった。私の知る限りこれに挑戦したのは、2011年の映画『IN TIME』しか知らない。まぁ、広義に解釈すれば寿命を取引する『デスノート』も含まれるかな?笑。

どちらにしても、映画やアニメではなく、現実にチャレンジした例はもちろん聞いたことがないので、発想からして非常に面白いと言わざるをえない。スキームとしてはVALUと似ている点も感じるが、根底にあるビジョンはかなり異なるように感じる(が、まだ言語化はできていない。あとで追記するかも)

もっと詳しく知りたい人は、こちらも読んでみることをお勧めする:

VALUリリース以降、賛否が巻き起こったし、今回のタイムバンクもまた話題になるのかもしれないが、ライフハッカーとして私達が今後激変するかもしれない時代にどう備えるべきか、という視点で書かれた記事は見当たらなかった。なのでここでは今後の評価経済の展開を素人なりに予想しつつ、私達が今からでもできることを考えていこう。

評価指標の圧倒的な洗練化

まず、評価経済の根幹となるのが個々人に与えられる価値評価である。現状ではTwitterFacebookのフォロワー数、ツイート数、リツイート数等からの算出がベースにあるのはVALUでもタイムバンクでも同じだ。こうなってくると、これらのサービスの動向を注視しつつ、私達もソーシャルアカウントに本格的に運用していかなければならなくなるかもしれない。「オレ、インスタやってないんだよ」と涼しい顔をしていると、評価経済に飛び込みたくても飛び込めなくなる可能性も無視できなくなってくる。

既にそうなりつつあるとも言える。例えばマッチングアプリなどではフェイスブック連携が必須で、一定以上の友人数がいないと相手にされない(じゃないとサクラアカウントかスパムアカウントとみなされる)。そういう意味では今更主張すべきことではないように感じるかもしれないが、まだまだ特定の分野でしかその現象は起きていない。でも今後5年ぐらいでかなり一般的になっていくと思う。例えば今で言えば学歴に力を入れる(それが就活時に自分の能力を暗にシグナリングすることになるし、ブランディングになる)というのが一般的価値観だが、5年後はそれと同じレベル感までソーシャルアカウントの重要性が拡大していると踏み込んで主張したくなってくる。

このフォロワー数やツイート関連内容を基にした評価手法に対して色々なコメントを読んでいる限り、「フォロワー数で何がわかる?」とか「フォロワーが多いって単に芸能人なだけでしょ?」とか「強者がますます強者になるだけじゃねーか!」などの突っ込みを見かけることが多い。しかしこれはある程度は仕方ない。指標というのは単一の数値でしかなく当然多くの情報が抜け漏れているし、それは従来型の指標(どれだけ良い大学に入れたか、どんな資格を取得したか)も同じ問題点を抱えている。

評価指標を洗練化させるアルゴリズム

でも、この弱点は凄まじいスピードで改良されていくと予想している。例えばAmazonレーティング指標は☆を1〜5個つけるのだが、今では全レビューの単純平均という方法を取っておらず、複雑なアルゴリズムが実装されているらしい。(レビューを良く見せてAmazonの売上アップを目指している可能性はあるのかもしれないが)少なくとも悪レビュワーの貢献度を下げるような仕組みになっていると言われている。

近年、フェイクニュース対策に向けて各IT巨人企業が新たなアルゴリズム研究を進めざるを得なくなっているし、そういう分野の論文も次々と公開されていくだろう。なので、現在VALUやタイムバンクの裏でどのようなアルゴリズムが動いているのかは知らないが、先端的なアルゴリズムへとアップデートが続くことは容易に予想できる。しかもこれはメタップスの得意分野のはず。

評価指標を洗練化させるデータ

アルゴリズムがロケットのエンジンだとしたら、データはロケットのオイルである」とビッグデータの世界ではよく言われる。データがフォロワー数という単一の情報源が続けば、いくらアルゴリズムが洗練されようとたいして変わらないかもしれない。が、私の予想はユーザーが自ら自分のあらゆるデータをVALUやタイムバンクのプラットフォームに提供するようになる、ということである。理由は後述する。

例を挙げると、すでに保険会社にウェアラブル端末のデータを送ることで、健康や運動にどれだけ力をいれているのかが可視化され、その人の保険料が安くなるというビジネスモデルが数年前から欧米発で実現している。これがもっと一般化して、私達が自らの様々なデータを提供するようになれば、評価指標がますます洗練化していくと考えることが出来る。

先程、「ソーシャルアカウントの重要性が今で言う学歴と同じぐらい重要になるかも」と主張したが、ここまで考えると必ずしも「ソーシャルアカウント」がその対象になるかはまだわからないと思えてくる。ソーシャルアカウント以外の多様なデータから評価が決まるとすれば、評価経済に飛び込むことを決意するのであれば、タイムバンク上のアカウントでの評価指標それ自体が人生で最も重要な指標の一つになっている」と主張を変えて置くのがより安全で良いかもしれないな笑。

いやあ、そう考えるとIT巨大プラットフォームの匂いもしてくるよな。

ますます似てくる金融市場との対比

VALUやタイムバンクで購入した「タイム」は、必ずしも金融商品ではないので、ココでは若干抽象的なレベルに上昇し(細かい矛盾点には目をつむり)金融市場との対比を考えていこう。

そもそもこれらのサービスが人々を興奮するほど面白いと感じるのは、個人が企業のように何倍どころか10倍、100倍にも化ける可能性が出てくるからだ。企業の場合は投資家から多額のお金を集めて、他の企業を買収したり、大々的に新規ビジネスを始めたりすることで、短期間でどんどん化けることが可能である。

一方、一般的な個人の場合はとてもそのようなスピード感では人生が進まない。例えば大手企業の社長は一分一秒が大切で、すべてが最適化されて動いている。だが新入社員は毎日片道1時間の満員電車に揺られて出社し、安い椅子と狭いデスクで仕事を始める。社長のような生産性の高い「個室」はもちろんもらえない。

もし「MBA留学がしたい!」と思い立ってもお金がないので少なくとも数年間は貯金しないといけない。でもVALUでしっかりと自分の将来性をアピールして、資金を調達できれば、会社を辞めてMBA留学にとっとと人生のステージを進めることが出来るかもしれない。

または、新入社員だけど多額の資金調達をできたので、「お金は払うから、社長室の隣にオレの個室作ってくれよ。」と総務部に頼み込むことも出来るかもしれない笑。総務部としても、お金を払ってくれるのであれば悪い話ではないな、となるかもしれない。そういうスピード感が人生にもたらされて、どんどん生産性が上がると思ったらライフハッカーとして最強だと思わない?

もしそれで本人の給料が将来上がれば、何らかの配当(またはその人の「タイム」価値上昇)を通してその人の割引現在価値は上昇するので、投資した投資家もリターンを得ることが出来るという極めて健全な関係となる。(給料が上がらなかったら投資家の見る目がなかったということで健全。)

社長の一分一秒が大事なのはわかるけど、「若い人のほうが人生長いんだから、若い人の時間の方が大事だよな?」という価値観は今まで存在し得なかった。ココに金融の概念が投入されるのはたまらなく面白いな。

物言う株主

さらに面白いのは、「物言う株主」的な概念もVALUやタイムバンクに出てくる可能性があると思っている。例えばすごいテニスの才能を持っているのに日本に縮こまっている中学生に投資している投資家がいるとしよう。そうすればきっと、「アメリカ留学して実力を大幅にあげてこいや!」と投資家から若手選手へ苦情が行くかもしれない。同時に、投資家は基本的に自分の得意分野に集中するので、若いテニス選手に投資しているその投資家はとてもテニスに詳しい可能性が高く、どのように留学すればよいのか、「錦織選手が利用した盛田正明テニスファンドではなくて今なら〇〇が良いぞ!」と言うように色々とアドバイスをくれるだろう。

これってつまりモノ言う株主だよね!なぜこれが衝撃的かというと、今の世の中でコーチングビジネスが成立しているのは一部のプロスポーツと日本の学習塾ぐらいで、本当に少ない。もっと様々な普通のビジネスマンを一人ひとり、本気でコーチしてくれるようなサービスがアレばいいのに、と私はずっと思ってきたが、学習塾のように需要が大規模で、ノウハウが蓄積されて、大学受験が毎年行われ、指導の対価として授業料も結構な額を払ってくれるような業界というのは少ない。でも上で説明したようなVALUやタイムバンクが高度化した世界では、色んな専門性を持つ人が自分の経験・眼力を基に他の人に投資するのが最適戦略になる。既にベンチャーキャピタルはヘルスケアとかITと分野別に乱立しているので、そのVALU版だ。そういう高度な世界が実現すれば、それぞれの専門分野の投資家は投資先にぐいぐいアドバイスを行う。自分のリターンがかかっているので、本気で行う。こうやって学習塾の先生やテニスコーチのようなレベル感を、幅広い業界で実現できるようにもしなれば、本当にすごいなぁ。

MBOマネジメント・バイ・アウト)という選択肢

「物言われたくない」という人であれば、別に上場したり、自分の「タイム」を売りに出さなければ良いだけだ。また、資本市場の世界ではMBOという手法が存在する。これはマネジメント・バイ・アウトの略称であり、経営陣が市場に出回っている株を買い戻すことで、投資家に色々と口出されずに済むようになる。「自分の時間」を他人に左右されたくないなら、タイムバンクで買い戻すしか無い。そういう人がでてくるかもしれないね。

決算資料

この記事の前半で、「VALUやタイムバンクのユーザーは、将来、自分のあらゆるデータをプラットフォームに提供するようになる」と書いたが、それはどういうことか。

金融市場の比喩を使えば、投資される人に関するデータは、決算資料に相当すると思う。その人が集めたお金をどのように使ってどのように成果をあげつつあるのか。もしくは、その人の日々の行動記録、TODOアプリ(TODOIST)の完了記録、PC利用データ(RESCUETIME)、Togglデータからわかる時間の使い方、ウェアラブル端末からわかる健康状態、スマート体重計データ、家庭内環境計、ホームスピーカーデータ、手書きメモ情報などだ。テニス選手ならスマートテニス端末のデータをプラットフォームにアップロードすべきだろう。受験生なら参考書のどこからどこまで学習したかとか、模試の成績とかは当然アップすべし。

もちろんこれらのプレイベートなデータを上げたくなければ上げなくても良い。それは上場企業も同じで、最低限の情報を公表すれば咎められないが、プラスアルファで公開すれば投資家からの評価が高まる。

それに、こうやって個人と紐づく様々なデータがVALUやタイムバンクのプラットフォームに乗っかっていたら、物言う株主が積極的に分析してくれるだろう。これは金融市場で言うファンドマネジャーやアナリスト、エコノミストに相当する。彼らは企業に頼まれてもいないのに、朝から晩まで企業や経済のことをとことん分析している。なので同じことがVALUやタイムバンクでも将来、起きるのではないだろうか。ここまで高度化すれば、それは金融とデータの真の融合だなぁ。

これが、ユーザー側が喜んで様々なデータを自ら提供してくれるようになる理由の説明だ。

私は日々、Togglの時間管理データ、家庭内の二酸化炭素データ、複数のウェアラブル端末のデータを蓄積したりしているが、それらを本格的に分析したら1日かかってしまったし、そういうのを専業でやってくれるライフハック専門コンサル会社があればいいのに!と常々思っていたが、先程説明した「学習塾」のような理想的なビジネス環境が整っていない限り成立しない可能性がある。(あとは「ライザップ」も奇跡的に条件が揃った領域を発掘した例になるよね。でも一般的には成立しない。)

でも、金融市場の力を上手く取り組めれば、分析のプロが勝手に自分のデータをどんどん分析してくれるという夢のようなことが実現するかもしれないし、ライフハックの世界も新境地を迎えることになると思う(その代わり「物言われる」笑)。

今のライフハックって結局は「毎日運動しましょう」とか「瞑想しましょう」とか情報提供だけに偏っていて、それをいかに実践するかというより重要なところがまったく進んでいない。ダイエットしている人はいつまでもダイエットしている感じ。そこが変わるかもしれない。

個人に投資する個人投資家という職業

先程テニスに詳しい人が若手テニス選手に投資する投資家になる例を紹介したけど、世の中様々な分野があって、そういうニッチな世界に照準を絞って自分が投資家になることもできる。

上場企業の場合は、決算データ等を海外投資家含め誰でも入手できるし、プロ投資家がしのぎを削っているので、素人が気軽に勝負できる領域ではない。それと比較すると、VALUやタイムバンクには、将来的に様々な個人が上場してくる可能性がある。その分、いろいろな投資のチャンスが生まれるかもな。

例えば、自分が高校生で、クラスメートと話していたら、「コイツ天才じゃん!」と心の底から思うことがあったとしよう。その情報はまだ自分しか気付いていない極めてニッチでローカルな情報だ。孫正義育英財団はもちろん掴んでいない情報。なので、今のうちに自分がそいつの「タイム」をたくさん買っておこう笑。(怖い世の中だ笑)

発想は怖いかもしれないけど、クラスメートを応援することになるし、自分もそういう才能を早く見つけて頑張らなきゃ、という気持ちにもなるよね。

それにこういうローカルな情報で投資できるってことは、本当にどこの誰でも、例え何歳でも投資のチャンスがあるってことだよ。従来の指標・価値観では日の目を見れなかった人も、投資される方でも、投資する方でも、様々な可能性が開けてくるかもな。タイムバンクのプレスリリースに対して「格差がますます開く社会」と不安に思うコメントも多いようだが、一方でこういう多様化の効果もあると思う。すげえことだ。

少子化対策が進む可能性

日本で長いこと社会問題となっている少子化。タイム取引市場がプラットフォームとして浸透した近未来では、プラットフォームの設計や規制次第だが、子供を多く産めば生むほど有利になる可能性が出てくる。なぜなら、1人新たな生命が誕生するということは、ざっくり寿命分の80〜90年間の「タイム」が新たに掘り出されたことと等しい。

親が子供の選挙権を持つという話があるように、仮に生まれた子供の「タイム」を一時的にすべて親が握るという社会を想像してみよう。そうしたら、子供をたくさん生んで、一人ひとりの子供の将来価値を高めることで、家族全体の富がどんどん増えていくことになる。子供が多いと育児もその分大変になるので、仕事に割く割合をより抑えて、もっと多くの労力を子育てや教育に割いていく家族が増えていくかもしれない。なぜなら、子供のためになるだけではなく、家族ポートフォリオ(家族全員分の「タイム」を合わせてもの)の将来価値がそれだけ引き上がることになるからだ。しかも、親が子供のことを一番良くわかっている。前述の「モノ言う投資家」に最も向いているのは親かもしれない。別の言い方をすれば、株式持ち合いならぬ家族持ち合いというものが生じて、家族内でお互いを高め合うようなシナリオも想像できる。そういう強く結びついた家族共同体が日本中にたくさん生まれて、「家族」に対しての支援・投資も出てきそう。タイムバンクと同時に公開されたこちらのプレスリリースはそういう将来も予感させる:

さらに面白いのは、子供が10人いたとすれば、ポートフォリオのリスクをうまく管理できる。それぞれの子供が、描いている夢に向かって思いっきり突き進ませてあげることができる。自分の子供が多少リスクが高い職業や生き方を志していたとしても、10人全員が別々のリスキーな将来を歩めば、そのうち一人、二人は大成功し、タイム価値が数千倍になるかもしれない。そうすれば、上手く行かなった他の8人の分もその投資リターンでまかなうことが出来る。子供が一人しかいなければ、こういうことはできないので、なるべく安泰な職業や生き方を親としても勧めざるを得なくなる。これってベンチャーキャピタルでは当たり前の考え方で、一部の投資先が当たればあとは上手く行かなくても良いというヤツね。それを家庭レベルで実現出来ると思うとワクワクせざるを得ない。子どもたちも例え夢が叶わなくても、思う存分チャレンジしたというのは一生の宝になるだろう。

ただ、実は子供が一人でも、その人に才能があれば市場から資金を集めることが出来るので、家族内でリスクをプールするまでもなく、リスクを投資家に移転することができる。そういう意味では家族持ち合いをしなくても子供が思いっきりリスキーな夢に向かって邁進しやすくなるかもしれないな。

もし日本が世界に先駆けて時間取引市場が高度に発達したら、まさに人生キャリアの「ジャパニーズ・ドリーム」旋風が巻き起こるかもしれないな。

TDS(Time Death Swap)という高リスクな概念

あくまで仮説にすぎないが、「Time Death Swap」の概念が出てくる可能性も無視できない。金融ではCDS(Credit Default Swap)という、倒産しそうなハイリスクな企業と紐づく金融商品が存在し、リーマン・ショックの際に耳にした人も多いことだろう。これに対応するのがTDS(Time Death Swap)だ。人間のタイムはもちろん価値があるけど、もし健康問題が発覚し、あと寿命が1ヶ月しかないとわかったら、その人のタイム価値は当然、暴落するよね。なぜなら、有名人であるほど、十分にその人のタイムが市場に出回ってしまっているはずだが、残り1ヶ月となると、明らかに出回っているタイム分の時間の権利を投資家は行使できない。つまり、1ヶ月で実施できるセミナーの限界回数、1ヶ月で可能な回数のランチを超えていれば、その価値は突然消える可能性がある。30歳の人が突然、余命1ヶ月になったら、今後60年分のタイムの時価総額はすべて吹っ飛ぶことになる。

しかし、余命はあくまで予想に過ぎず、奇跡的に病が治り、60年以上生きられる可能性が復活するという話もあるだろう。その場合は地に落ちたタイム価格が、何百倍、何千倍、何万倍というリターンを見せることになるかもしれないね。

この場合、医師がその情報を先駆けて知ることになるので、医師が莫大な利益を上げるという例も出てくるかもしれない。一方で、市民の反発も予想できるので、もしかしたら病院やタイム取引市場の自主規制により、病院従事者はタイム取引を禁止させられるかもしれない。

人の死に関わることで不謹慎かもしれないが、近未来を突き詰めていけば、避けては通れない問題だ。

金融業界と医療業界の距離が近づく

新たな医療技術が発達して、病気が治る可能性が高まったり、予防医療の完成度が高くなったりすることは喜ぶべきこと。

でも今後は単に喜ばしいだけではなく、実利的に喜ばしくなる。なぜなら、世界中の人たちの平均寿命が伸びるため、人生に残された「タイム」が世界中で増えることになる。これによって世界のタイム合計時価総額が伸びるのではないだろうか。もし世界の合計と連動するようなタイムバンクインデックス商品なるものがあったとすれば、それを持っている人は全員ハッピーになるよね笑。

なのでもし「タイム」で一稼ぎしたい投資家がいたとしたら、将来的には医療の論文などにも目を配っておくことが賢明と言える。逆に言えば、医者はタイムバンカーと相性が良いので、そういった副業も増えるかもしれない。(が、前述の通り医師のタイム取引は規制に掛かる可能性があると考えている。)

でも実はコレはまだ自分の中で結論が出ていない。金融の世界で言えば株の希薄化という概念がある。これは例えば企業が追加で株式を発行してしまえば、もともと株を持っていた人は企業の所有%が低下するという話だ。なので寿命が伸びる度にタイム投資家の持つタイム資産が希薄化していく可能性も考慮しなければならないので、ココらへんは慎重に考えなければならない。

タイム取引革命2.0:夢テクノロジーの導入

最後に、かなり遠い将来まで視点を飛ばしてみよう。

タップスのタイムバンクがタイム取引革命1.0だとすると、20年後ぐらいにはタイム取引革命2.0が起きると予想している。

解説しよう。現在は寝ている時に見る「夢」をコントロールすることはできないが、それをコントロールできるようになったり、脳とコンピュータを繋ぐ技術であるBMI(Brain Machine Interface)が発達した場合に何が起きるだろうか。脳とコンピュータを繋ぐBMIは話題になることはまだ少ないが、Mark Zuckerberg(Facebook)やElon Musk(Neuralink)など、テクノロジー界のトップランナー達が猛烈に研究開発を現在進行系で進めており、部分的であれば10年後にはある程度日常的に用いられるようになっていてもおかしくない。

「タイム」はランチやセミナー開催などと紐付いているので、「起きている時間」しか売買できない。しかし夢テクノロジーやBMIが進展し、有名人が寝ているときにもその人からアドバイスをもらったり、コンサルをしてもらったりする権利を売買できるようになったら、タイム革命2.0と呼べるほど大きなインパクトがもたらされるだろう。なぜなら、起きている時間で自由に他の人のために利用できる時間は高々10時間ぐらい(他は移動したり、仕事したり、シャワー浴びたりするよね)で、残りの睡眠時間の6〜8時間は取引市場の対象から外れてしまうのだ。実際には夢をそこまでコントロールできるようになるとは思えないけど、例えば芸術家、小説家、映画監督などのようなアーティスト系の有名人が見る夢を自分も覗いてみたい、という需要はあるだろうし、それぐらいなら可能になっていくかもしれない。もしここまでを扱う技術が発展すれば、世界のタイム時価総額が1.5倍以上に一気に膨らむ可能性もあるね。まぁ、これは遠い将来の話ね!

終わりに

ということで、これらのサービスは注視しておき、「評価経済、面白くなってきたからオレも飛び込みたい!」と思ってもTOO LATEとならないようにしておきたい。もし本当に巨大プラットフォームへと成長したら、人生の生産性が10倍〜100倍アップしていく可能性も夢ではない。だって企業だとそれぐらい成長するよね。

しかし、私は偏差値が足りずにタイムバンクの審査で落とされてしまった。こんなに面白い近未来が待っているというのに!無念だ。

ということで、優しいお方はワシをフォローしておくれ!ガハハ!