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The world is changing, boys. It's time we change too.

おっさんが『Tiktok』をガチでやってみた話

オッサンになるというものは辛い。

Facebookを頑張って始めて、色々と投稿していたのに、最近「いいね!」をくれるのは同世代か上の世代だけになってしまった。気づいたらイケてる若者は撤退していた。辛い。

次に若作りのつもりでInstagramを始めたが、「インスタ始めたんだよね!」と会社の若い奴らに話しかけてみると、「オッサン層がインスタに攻め込んでくる、このときがついに来たか」と口にはしないものの、微妙な表情を一瞬だけ見せる。ワシを褒めてほしかったのにな。辛い。

でもLINEはなかなか便利だし、やっと慣れてきた。と思っていたら、あるときから自分の子供に連絡しても、なかなか既読がつかないので、「最近なんで無視するんだ」と家で叱ったら「いちいちLINEで説教してくる親がいるからウゼーんだよ。」と反抗期の息子に言われた。辛い。一応ネットで調べたら、若者のLINE離れの兆しも出てきているらしい。

同世代の友人は、昔はYoutuberをバカにしていたのに、こないだは「最近、家でYoutuberもやってるんだよ、ガハハ」と自慢してきて驚いた。私にはもうそんな気力はない。次々とアプリが移り変わるので、もうついていけない。

疲れ果てたある日の通勤中、電車でギューギューになりながら日経新聞を読んでいたら、「さよなら、おっさん」との広告がでかでかと出ていた。

私の居場所は日経新聞の中にも存在しないのか。
嫌になって新聞を閉じた。
しかし目を上げれば、車両の広告にも「さよなら、おっさん」
辛い。

http://livedoor.blogimg.jp/masorira-kabu/imgs/3/d/3dd561ef.jpg

うーむ、悔しいぜ!

自分が行く場所行く場所、若い奴らが逃げていく。それなら、若いやつの先回りをするしかないだろう。そうしたら若いやつがワシの背中を追ってくるようになる。理屈ではそうかもしれないが、どうすればいいんだ!?

そんなことを考えていたら、先日、一筋の光を感じるアプリを発見した。その名はTiktokだ。知れば知るほど面白い。やればやるほど面白い。

敗北が続いたおっさんの一発大逆転を狙えるチャンスだと感じた。

おっさんのリープフロッグ(Leap Frog)現象が、いま始まる。

Tiktokはこのようなものだ!

Tiktok』ほど、今"熱い"アプリは他にないだろう。Tiktokは「ショートムービー」アプリと形容されることが多いが、ユーザーが続々と音楽に載せた自分の超短い15秒の動画をアップしていく動画SNSだ。どのぐらい熱いかと言うと、2018年第1四半期でゲームを除くAppランキングでなんと世界トップに輝いた。

2016年9月にローンチされたばかりで、まだ2年にも満たないが、ユーザー数はDAU(日次アクティブ)で1.5億人、MAU(月次アクティブ)で3億人超えだ。これはローンチから1年7ヶ月のLINEのユーザー数が登録ユーザー数ベースで1億人(MAUベースではさらに少ないと思われる)だったことと比べて、いかにハイペースかわかるだろう。中国発のアプリだが日本でも大人気だ。

でも、そんなに流行っているのなら、「おっさんが参入→若者が逃げていく」というお決まりのパターンがオチじゃないのか?

いや、ユーザー層が圧倒的に若い。JS(小学生)やJC(中学生)を中心とし、最近はJK(高校生)、JD(大学生)、かろうじて新入社員層にも広がりを見せている段階だ。20代後半、30代とそれ以上年齢が上がると、ユーザー数はかなり萎む。若者であっても、そもそもTiktokの存在を知らない人も多い。かろうじて知っていても、及び腰な人がほとんどだ。つまり、「20代、30代の若者」がTiktokに気付く、もしくは気づいても理解するのにまだ一定のタイムスパンが我々には与えられているのだ。

なのでおっさんのリープフロッグ現象にはまさに「もってこい」のアプリだ。始めるなら今しかない。そして大人もドハマリできるほど楽しいし面白い。

いったいTiktokの何がそんなにおもしろいのか?

百聞は一見にしかず、こちらの動画をご覧頂きたい。
(できればアプリをインストールして実際にいろいろExploreして欲しい。)
youtu.be

さすがにイタすぎるんですけど?

私のようなオッサンがTiktokを始めるとまず強烈な違和感を感じる。さすがにこれは自分には厳しいかもしれないと悟る。

化粧や口紅の濃い女子小学生や女子中学生が、顔をどアップで映し、まるで大人気アイドルかのように踊り散らしている。私の今までの長い人生で目撃してきたぶりっ子ランキングの上位を次々とこの子たちが塗り替えていく。大変痛々しい

男子小中学生もなかなか強烈だ。曲に合わせて学校のチョークまみれの黒板消しを目や口を開けながら顔に何度も叩いているのは、さすがに健康に悪いと説教したくなる。授業中に曲を流して踊り出し教員を困らせるものもけしからん。部活の活動中にこっそり野球バットを面白おかしく振り回したり、部室での悪ふざけも目立つ。部活動舐めんな。野球の神様に叱られるぞ。ワシが部活やってた頃は水も飲ませてもらえなかったんだぞ。

www.youtube.com

Tiktok内の動画がYoutubeにも無断転載されているものも多く、近年のComputer Visionや動画解析技術の発展により、たとえ動画と名前が紐付いていなくても、下手したら彼ら・彼女らが成人してからも、ネット上に(自分と紐づく形で)一生残っていくかもしれない。Tiktokは『黒歴史製造機』と2ちゃんねるでは揶揄されているようだが、言い得て妙だ。最近の若いヤツはネットリテラシーが足りないんじゃないか?

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それに若いんだから、家の中に引きこもってスマホばっかりやっていないで、リアルな友達とさ、プールや海に行ったり、外で遊んでいろいろ経験せんかい。君たちは引きこもりなのかい?陰キャなのかい?

はぁ。もうTiktokは辞めだ。ワシには無理だ。撤退するか。

Tiktokを理解できる人間と理解できない人間に二分される現象

Tiktokに対する第一印象として、多かれ少なかれ、上記のような、何らかの違和感を感じたり、ディスりたくなる感情が湧いてくる。なぜこのような違和感などを感じるのか?

Tiktokに対するネット上の反応を見ていても、「最近の若い文化に終に、ついていけなくなった」のような趣旨のコメントも多く、私も最初は「年齢が原因」と思っていた。「私も終に若者についていけなくなったのか?」と。

もちろんそれも一部あるかもしれないが、Tiktokに限って言えば、実は「年老いて新しいものを理解できなくなった現象」と事情が少々異なるのだ。

例えば大人気Tiktoker姉妹として知られるErika(18歳)とMarina(16歳)によると、最初はTiktokやっている人は「相当イタイ」と思っていたらしいのだ。しかしクラスメートの男子に「一緒に動画撮ろうぜ!」と言われて、渋々一緒にダンスをし、その1つの動画を投稿しただけでファンが大勢付いた。そこから自分でもやるようになり、Tiktokの真の面白みにドハマリしていったとか。

つまりピチピチの若いJC(女子中学生)も年老いたオッサンも、最初の反応は「痛すぎ!」「まともな人がやるアプリではない」で共通しているのだ。それなのに、飛ぶ鳥を落とす勢いでTiktokはユーザー数を増やしている。これは『Tiktok現象』を理解する上で、今までのFacebookInstagramで培ってきた文化・価値観を多少延長する程度では理解出来ないことを示している。

姉妹も最初に感じた(従来の価値観から発生する)「イタイ」という感情は「踏み絵」として機能している。踏み絵を乗り越えた人にしか見えない「景色」が果たして広がっているのか。そのあたりに今回は迫っていきたい。

ちなみに、Erika & Marinaの動画はこちら。
youtu.be
ちなみにワシはその後『Tiktok』から撤退せずに、ガチでやり続けた。面白い動画をあげようと悪戦苦闘し、創意工夫の末に千人以上のファンを獲得した中で、Tiktokに対する考え方が大きく変化し、その圧倒的魅力・ワクワク感を感じられるようになった。

それを詳しく紹介していきたい。

Tiktokerは「引きこもりの陰キャ」なのか?

Tiktokをやる人のことをTiktokerというのだが、Tiktoker VS. アンチTiktokerで生じる言論対立の一つが、

  • 「Tiktokerやっているヤツは実社会で相手にされない陰キャ。引きこもりだ。」

というアンチ側の主張と、

  • 「Tiktokerやっているヤツこそが陽キャ。いちいち批判してくるな。放って置いてくれ」

というTiktoker側の主張がある。この対立は半年前ぐらいから現在まで熾烈に続いている。

Tiktoker側(後者側)の視点を紹介しよう。TiktokerにとってこのTiktokアプリの中に広がる世界は凄まじい物がある。Tiktokに限らないことだと思うが、今の時代、ネット上の活動の重みがどんどん増加している。例え部活に入らず毎日学校から直帰し、自分の部屋に閉じこもりTiktok動画を取り続けている熱心な中学生が居たとしても、何も不思議ではない。親は一瞬心配するかもしれないが、Tiktokを理解できさえすれば、ある意味で健全で、夢のある熱い生き方をしていると評価さえできる。

Tiktoker上で活動する彼ら・彼女らにとってはネットこそがOutdoor。従来の「Outdoor」に、いったいTiktokを超えるどんな面白いものがあるというんだ?そうTiktokerを熱狂させる要素が、Tiktokにはギュッと詰まっている。

もちろん野球部に入って甲子園を目指すことは素晴らしい生き方の一つだが、同様にTiktokerとして天下を目指すことも応援に値する素敵な学生生活、青春だとワシは感じている。

まともなヤツはTiktokをやるわけがない!?

もう一つの対立が「まともなヤツはTiktokをやらない」「別にまともでもやるし!」というものだ。

前者の意見を代表する、とあるツイートを紹介しよう。こちらは4万以上のLikeを獲得した今年6月のツイートだ:

いったいどういうことなのか?

半年前までは10代がメイン層のTiktokだったが、アプリの爆発的ブームに伴い最近は高校生、大学生、新入社員層にまで高齢化しつつある。職場の給湯室でこっそり動画を撮るようなOLもちらほら出現し始めたのも興味深い。つまり20代でもTiktokerが急増しつつあり、結婚を考える年代にもTiktokの存在が知れ渡りつつあるのだ。

一人、二人とわずかな人数だとしても、実際に周囲の知り合いがTiktokにイタイ動画を上げ(それがFacebook、LINE、インスタにも連動する形で投稿されると)、「何だこれは!?あまりにイタイ!!」と衝撃を受けてしまうのも無理はない。

このツイートのLike数からわかるように、Tiktokerに対する強烈な「イタイ」意識を持つ人は、現在の日本には大変に多い。

しかし私はあと1年を満たないうちに、少なくとも20代においてはTiktokが「まともな人もやっても良いアプリ、イケてる人こそやるアプリ」と健全な認識が急速に普及すると信じている。さらに2年後までに30代、40代へ。3年後までに50代へ広がる、といったところだろうか。その理由をこれから説明しよう。

Tiktokから次々とスターが生まれている

実は今、Tiktokを運営している会社には、芸能事務所やタレント事務所などから「このTiktokerを紹介して欲しい!」との問い合わせが止まらないらしい。今年の3月〜4月だけを見ても、6人程度の元素人Tiktokerが芸能事務所との契約を見事に勝ち取り、うち一人はなんと石原さとみさんなども所属するホリプロ所属となった。これからも続々とTiktokからスターが生まれてくるに違いない。人気Tiktokerの中には、インスタやTwitterのフォロワー数よりもTiktokのファン数の方が断然多いという人も多く、重要なのはTiktok発でスターになっている例がどんどん増えていること。Tiktok発で無名な素人が短期間でスターになっていく。テレビで有名になった人がTiktokでも活動しているだけであれば特段面白くないが、その逆が起きている。前述のErika & Marinaも、Tiktokで有名になってからC Channel専属クリッパーに就任するなど、Tiktok発でありながらも、活動の幅を広げている。

そして、彼ら・彼女らが徐々にテレビへの露出も増やすことになり、そのような経路でもTiktokが健全であり、夢のあるプラットフォームであることが認知されるようになっていくだろう。

そんな勢いのあるTiktokをプロモーションのツールとして、当然注目している会社も出てきている。例えば、このようなニュースが次々とリリースされている。

他にも、先進的な例としては「ローソン」公式アカウントの投稿でLチキの曲がバズっていたり、流通科学大学Tiktokを通して大学の魅力をアピールしていくと発表していたりする。

個人的に思うのは、ファッション業界とのシナジーは高い。きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」に載せる動画投稿がTiktok内で大流行しているが、これはリズムに合わせて自分のファッションショーを行うものである。アパレル企業やショップ店員がナチュラルに商品を打ち出せるのは強みだ。大人気Tiktokerのコメント欄には、「その服どこで買ったの?」などという、若者の購買意欲が動画を通して刺激されている例も多数見受けられる。(商品紹介が不自然になってしまう業種・業界は残念ながら相性は悪い。が、それも頭を柔らかくして考える余地があるだろう。)
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インフルエンサー事業としての注目度も当然高い。Youtuber事業として有名な2大事務所を上げるなら、まずヒカキンはじめしゃちょーなどを抱えるUUUM(2013年設立、2017年上場)。次にヒカルラファエルなどを抱えるVAZ(2015年設立)。VAZはUUUMに遅れての設立でありYoutube事業が後発という印象をどうしても受けてしまうが、Tiktok現象にはいち早く目をつけて現在多くのTiktokerをVAZが囲いつつあるようだ。実際、人気Tiktokerを見ていると「VAZ所属になりました!」という報告が増えている気がする。先日はこんなプレスリリースも出ていた:

インフルエンサーマーケティング事業を行う株式会社VAZ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:森 泰輝)は、日本初のTik Tokユーザーネットワーク「Tik Toker JAPAN」を運営する株式会社WAVES(本社:東京都港区、代表取締役:村岡 辰彦)と、2018年6月20日(水)に、Tik TokとInstagramインフルエンサーマーケティング事業における業務提携を締結いたしました。

ヒカル、ラファエルなどのTiktok活動の本格化も見られるので、VAZ全社を挙げてのTiktokへの戦略が垣間見れる。テック業界、ようつべ業界ではバーチャルユーチューバー『Vtuber』にここ半年ぐらいは大いに気を取られていたが、そのスキを狙っての、さすがの動きである。

最後にTiktok Japanの取り組みの素晴らしさも紹介しておきたい。ここまでの日本での爆発的普及を支えたのは、Tiktok Japanのチームが、根気強く芸能事務所に足を運び、外資発でイケイケなアプリであるにもかかわらず、低姿勢な態度を徹底し、エンタメ業界への挨拶を怠らなかったことが挙げられている。例えば「ゆっきーな」の相性で親しまれている木下優樹菜さんもTiktokで活動しているが、これはTiktok Japanが5〜6回の粘り強い交渉を経て、ようやくゆっきーながTiktokに出てもらえることになったのだ。他にもきゃりーぱみゅぱみゅE-girlsなどの正統派歌手やアイドル、音楽好きな層に熱狂的ファンを持つDJ社長/レペゼン地球などを引き入れることに見事に成功している。渋谷にオフィスを構えた当初はわずか5名のメンバーで営業開始したようで、「中国テックジャイアントのグローバル展開を成功させた先行例」「日本で新たなウェブサービス、エンタメサービスを展開させる上でのポイント」というビジネス的な意味でも、今後ますます注目を浴びていくだろう優秀なチームと推察される。

世界→TiktokからTiktok→世界の流れ

倖田來未がカバーした「め組のひと」という8年前のカバー曲がある。それが先日、突然LINE MUSIC日次ランキングで1位、APPLE MUSICビデオランキングで2位を獲得し、エンタメ業界をざわつかせた。

Tiktokerにはこの理由がすぐにピンとくる。それはTiktok内で最も流行っている曲の一つだからである。このように昔の曲がTiktok内ではやったり、昔の芸人のネタが再燃したりする事実をTiktokで多数観測している。それに伴ってその芸人や歌手の人気も高まる現象が起きているのは面白い。今までは『逃げるは恥だが役に立つ』の「恋ダンス現象」のように、

  • ドラマが流行る→ドラマの主題歌も流行る→ダンスをネットに投稿する人が増える

というテレビ局発の経路だったものが、リバース(逆転化)現象が起きている。つまりTiktokで流行り、TiktokerがMステに呼ばれ、カラオケでも上位にランクインして、紅白にも出るようになると予想している。事実、ギタリストや作曲家、アイドルが短い時間で自分たちの作品をアピールする場としても使われており、光るポイントのあるアーティストは急激にファン数を稼いでいる。ちなみに、芸人さんが新ネタをTiktokで披露する面白い使い方も増えつつある。将来は、それで火がついてから「エンタの神様」のような番組に呼ばれるようになるかもしれない。この流れを体験する中で、すでに「単なる口パクダンスアプリ」の範疇を超えていると強く感じる。

これはTiktok映え』の重要性についての話にも繋がってくる。例えばTiktokの動画を大変かっこよく撮れる特殊な「リングライト」があり、一部の人達が利用し始めているが、この商品の人気がじわじわ高まっており、メルカリにもタイトルで「Tiktokで使えます」とわざわざ強調している出品が目立つようになっている。

100円ショップでTiktok向け商品をたくさん開発すれば、バカ売れするかもしれない。面白い映像が撮れるドローンを使っているTiktokerは羨望の眼差しで見られて「いいね」が大量に集まる傾向にあるので、10代、20代でも気軽に買えるよう、ドローンライクなものをガジェットメーカーが設計すれば同様にバカ売れするポテンシャルがある。Tiktokに精通していることはマーケター、クリエーター、商品企画・開発者、広報担当者の必須教養の一つになるだろう。

Tiktokを粉々に叩き潰せ!米中テックジャイアントの焦り

SNSの王座をInstagramの次に手に入れるのが誰なのかは、テック業界の最大の関心事でもある。Snapchatが突破するかと思われていたが、Instagramによる執拗なSnapchat潰しもあってか、いまいちパッとしない状態が続いている。

テクノロジードリブンで考えがちなテック業界では、スマホだけで完結するアプリは終焉したと、VR・AR、Vtuberなどに注目が行き、今でもTiktokの分析記事などは残念ながらネット上には少ない。Snapchatが自分たちをテックカンパニーではなくアートカンパニーと位置づけたがっていたように、Tiktokもまたベクトルとしてはダンス・音楽・映像の面白さといった「アート寄り」であったこともあってか、「単なる悪ふざけアプリ」「一部のダンサー・クリエイターだけのためのアプリ、マスには普及しない」「Just another new short movie app, again...」とアートに疎いテック業界からは軽視する見方が一定数存在した。

ただ、さすがのテック業界も、特に米中テックジャイアントがココ最近になってようやくTiktokがポストインスタの座を射止める可能性が現実味を帯び始めたことで、焦り始めた。例えば、直近だけでも、これだけのTiktok潰しが発生している。

ついでに言えば、Tiktokの親会社はアリババと近い距離にあり、Tiktok以外の別事業でアリババと提携関係にあったりすることも重要事実だ。アリババはSNSで失敗続きであることからも、Tencentと真っ向勝負していく上で、Tiktokをアリババ陣営に加入させアリババの一員として世界で戦っていくという分析をしている人もいる。Tiktokは米中のテック戦争の始まりとしても、ますます目が話せなくなっていく。

一旦、テックジャイアントになってしまえば、ビジネスマンがドヤ顔で「GAFAはだな…」とか「中国のBATはな…」と語りだすし、大きくなってから注目したり、Tiktokerが当たり前で健全な存在として受け入れられてから自分もセーフティネットを張って始めるよりも、小さい段階から注目し、いちTiktokerとして、怪訝な目で見られたり批判に耐えながら、Tiktokが大化けしていくプロセスを、そのアプリのコンテンツを生み出しその熱狂を支える一人として見届けたほうがはるかに楽しいはずだ。

おっさんの参入タイミング

Facebook社は早期のInstagram買収、Snapchat買収交渉で知られており、彼らが本気のTiktok潰しを繰り広げていることからも、Tiktokが次のBig Thingになる可能性は決して小さくないことを示している。しかも今回は中国巨大テックカンパニーのTencentも焦っている。

そして基本的にBig Thingになれば、若者から一般層へと普及していく。そうなると、20代、30代、40代と徐々に普及していき、(今のインスタのように)様々な企業がプロモーションツールとして利用するようにもなっていく。

タイミングとしては、その後におっさん層が参入してきて、「おっさんTiktoker」という言葉も流行るようになるだろう。FacebookInstagramが若者発で高齢化の普及経路を辿ったことと同じだ。これらのSNSでも、「毎回の食事の写真をSNSにアップするなんてけしからん。貧乏人じゃないんだからさ。」と怪訝そうな目を向けていたオッサンが今では嬉しそうにインスタおじさんと化けたことを顧みても、数年後にはTiktokで嬉しそうに踊るオッサンが大量に沸いているだろうことは想像しやすい

ちなみに、Snapchatが普及していく過程で、スナチャを理解できる人とスナチャを理解できない人の対立が起きたことは記憶に新しい。それと今のTiktok上の対立は似通っていると感じてしまう。詳細は名著"How to Turn Down a Billion Dollars: The Snapchat Story" (著Billy Gallagher)を参照されたい。

一億総Tiktoker時代へ

Youtube用に動画を編集したこともあるが、それと比べるとTiktok動画は遥かに編集コストが低い。もう、1000対1ぐらいに労力が少ないのだ。ぱぱっと踊って、ぱぱっと編集して、ぱぱっと投稿できる。それをすべてスマホで簡単にできてしまう。

クリエイターの敷居はYoutuber時代、インスタグラマー時代は、実は結構高かった。Youtube用に動画を編集したことのある人であればわかるはずだが、骨が折れるどころじゃない。それを乗り越えられる一部の根気強い人たちだけがヒカキンを始め動画インフルエンサーになってきたわけだけど、Tiktokイノベーションにより、ここから第2幕が始まる。誰もが日常のちょっとした面白い瞬間を切り出し曲に載せたり、社畜マンとしての疲れを発散させるため寝る前に寝室で大暴れしたり、学校の教室や会社の飲み会でギャグセンの高い友人や先輩・後輩を撮影してネットの海に瞬時に開放させることができるようになる。すべての人が簡単にクリエイターになれる。Youtubeなどとは異なり、Tiktokはほとんどのユーザーが観るだけではなく自分でも動画を投稿していることからも、それは明らかだ。

一億総Tiktoker時代は目の前に迫っている。